〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


by bookrium
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遠い残雪

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内浦の水平線の上には、たまに山並みが現れます。
富山、長野、新潟の山々。
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by bookrium | 2014-05-19 20:34 | 奥能登歳時記 | Trackback | Comments(0)

美しいもの

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土の上にはまだ雪が。

〈「土は美しすぎる」と、リーさんは言う。自然のままでも美しすぎるので、そこに手を加えて、アートにはできない。だから自分の作品に「土味」は、出したくない。自然は、美しいけれど、アートではない。
  (中略)
 〈いつもの道を歩いて ちいさな花をみつけた 今朝 すべてがあまりに美しいので この花を君にあげよう 理由もなく何かを美しいと思うこと 僕はそのことにただ感謝しているんだ〉
 「誰かを、何かを、美しいものとして見るという人間の持つ感情そのものが、美しいものの根源です。そのものを愛する人が、それを美しいものとして見たいのではないでしょうか。美しいものとは何なのか、まだ私も探し続けています」〉


赤木明登『美しいもの』より。
ドイツで陶芸をしている李英才(リー・ヨンツエ)さんについての文章の一部。
〈〉内の詩は、ドイツ語の古い詩。いいなと思いました。

ドイツの工房を引き継いだリーさんが、職人たちに形を意識させて作る過程が興味を引きました。
同じ形を20個挽いて、その中から良いと思うものを一つだけ選び、選んだものを見本にまた同じ形を20個挽かせる。その中からまた選び、同じことを繰り返していく。

〈「器を作る」というのと「音楽を奏でる」というのは、似ている。楽器も歌もある程度練習すれば、とりあえず音は出るようになる。でも、それで音楽にはならない。土と音は、ともにとてもやわらかく敏感な素材で、土や楽器を直接手で触ることで、自分の心臓の鼓動、呼吸を直接伝えることができる。だから、ちょっと呼吸の仕方を変えるだけで形や音が変わってくる。そのことを体で理解すると同時に、美しい形と音を志向する目と意志と情熱を保ち続けることによって、初めて土は器に、音は音楽になる。リーさんは、土の持つそんな直接性がやきものにとって大切なことだと教えてくれた。〉

ここの文章は、とっかかりのようなもの、それが沈殿する感じがします。

〈土にこだわり、作りにこだわり、焼きにこだわる〉という順を、前に人に言われたことがあります。
「土は美しすぎる」という言葉は、そういうことを考えさせられました。


美しいもの
美しいもの
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赤木 明登
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by bookrium | 2014-02-28 22:52 | 読んだ本 | Trackback | Comments(2)
小寒……寒さが本格的に厳しくなってくる頃。この日から小寒の季節に入ることを「寒の入り」と呼ぶ。節分までが寒の内。

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〈そのころは、よく雪がふった。

 雪がふってくると、最初に、

 空が消えてしまう。それから、

 影が、物音が消えてゆく。

 鳥たちが消え、樹木たちが消え、

 往来が消えて、一日が

 ふりつづける雪のむこうに、

 きれいに消え去ってゆくようだった。

 あらゆるものが消え去って、

 朝には、世界がなくなっているかもしれない。

 ふりしきる雪のなかに、もし 

 ずっと立ちつくすと、それきり、

 じぶんもいなくなってしまうという気がした。

 雪がふってくると、

 すぐそこに、彼方があらわれる。

 雪のふりつづく日に、 

 雪の向こう側へいってしまったら、

 途をうしなってしまう。

 もう、大雪はふらなくなった。

 雪けぶる夜の、冬の幽霊たちもいなくなった。 

 それでも、雪の季節が近づくと、

 すぐこの彼方へ静かに消えていった、

 いつのまにかいなくなった人たちのことを、

 ありありと思いだす。

 生きているときは遠かった人たちも、

 死の知らせを聞くと、

 どうしてか近しく、懐かしく思われる。

 そうなのだ。もっとも遠い距離こそが、 

 人と人とをもっとも近づけるのだ。

 いま穏やかな冬の日差しのなかで思い知ること。〉「雪の季節が近づくと」長田弘


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by BOOKRIUM | 2014-01-05 15:14 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)

『雪と珊瑚と』梨木香歩

この本は装丁が好きです。
表紙も、読むと〈珊瑚〉はこんな女性なんだろうなと思い、開くと淡いブルー、花布の淡いピンク、スピンはグレーとか。

離婚した21歳の珊瑚が幼い娘の雪を抱えて店を開くストーリーは、保険証もなく自宅出産の過程もこんなに上手くいくのかな?と思いました。
硬い感じを受ける珊瑚が関わる人たちや食べ物でほぐれていくようでした。大根のダシと塩のスープ、小玉のタマネギとコンソメのスープがおいしそう。

後半の一通の手紙が、読んでいて感じる否定的な考えや違和感を見通してるようで、モヤモヤの行き場がないなと思いました。アレルギーのあるこどもの母親に、「メロンパンもどき」を渡す。珊瑚が良かれと思ってすることが、店側では困ることがわからない、そういうところがモヤモヤしました。
聖フランシスコの言葉〈施しはする方もそれを受ける方も幸いである〉、施すことと施されることが、何度か出てきます。

気になった一節。

〈新しい人生とは、赤ん坊のそれなのか、自分のそれなのか、珊瑚は分けて考えることをしなかったが、産むことでようやく、社会や、そこで生きていくことと、ちゃんと関われる気がした。今までずっと、「本当に起こっていること」の外側で生きている気がしていた。〉

〈自分の人生は、なんだかモグラに似ている、と思っていた。さしたる夢も野望もなく、とにかく目の前の土を掻きわけて、なんとか息のできるスペースをつくっていく、それの繰り返し。もっと大きな、なんというのか「ビジョン」というのか、人生の目標みたいなものが、自分にはない、〉

〈昔、鍵をかけなかったことに対する苦い思い出が、珊瑚にはある。だがそのことはもう、思い出さないことにしている。そんなことは自分の人生を左右するほどのことではない。〉

〈「どんなに絶望的な状況からでも、人には潜在的に復興しようと立ち上がる力がある。その試みは、いつか、必ずなされる。でも、それを、現実的な足場から確実なものにしていくのは温かい飲み物や食べ物――スープでもお茶でも、たとえ一杯のさ湯でも。そういうことも、見えてきました。」〉

本をほとんど持ってない珊瑚が、家を出るとき持って出た一冊の本、石原吉郎の詩を読んでみたくなりました。


雪と珊瑚と
雪と珊瑚と
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梨木 香歩
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by bookrium | 2013-12-28 16:57 | 読んだ本 | Trackback | Comments(2)

冬の日

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by bookrium | 2013-12-15 22:37 | 奥能登歳時記 | Trackback | Comments(0)

ちいさい雪

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〈ちいさい雪がふっています
 ともだちはみんな土の中
 春が来るまで眠ります
 しろの季節です〉
乙脇こえ「ちいさい雪」抜粋
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by bookrium | 2013-02-17 19:58 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)

加能作次郎『母』

〈母は私には第二の母だった。〉
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〈「昔あったとい。」
 「聴いたわね。」
  (中略)
  冬の夜、外には雪が音もなくしんしんと降り積もっている。その雪の様に白く美しく、肉付のたっぷりとした膝頭を炉に炙りながら、苧を績みつつそんな風に語ってくれた母の姿が、声が、ありありと眼に見え、耳に聞こえて来る――。〉


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(025)雪 (百年文庫)
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by BOOKRIUM | 2012-01-16 16:43 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)

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雪の朝の海
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ぼた雪降る
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雪と山茶花
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雪が肩にのった壺(自作)
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雪溶ける(壺にくっついてるのは復元窯の内壁です)
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by bookrium | 2012-01-14 21:14 | 奥能登歳時記 | Trackback | Comments(0)

雪深

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サザンカと雪。
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屋根の雪と氷柱。
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by bookrium | 2011-01-15 13:07 | 奥能登歳時記 | Trackback | Comments(0)
中谷宇吉郎の〈雪は天から送られた手紙である〉も好きだけど、B'zの歌にある〈雪に言葉はない 手紙も届けられない〉というフレーズ(SNOW)も好きです。
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〈生命の世界にも、物質の世界にも、全くおなじ理法が存在しているということは、非常におもしろいことである。そういうことを、べつにおもしろいとも感じない人は、科学の美とは、無縁の人である。そして、ある意味では、幸福な人である。慾望の少ないことが、幸福の一要素であるから。〉

〈この六花状の結晶は、昔からよく知られていて、雪の結晶の代表的な形とされている。(中略)また六角柱の上下に、六花状の結晶がのび出していることもある。横からみると、鼓のような形にみえるので、鼓型の結晶と呼ぶことにしている。
 鼓といっても、これは高さ一ミリくらいの小さな結晶で、おとぎばなしの国の鼓である。もっとも、注意して見れば、肉眼でも、二階建てになっていることが、よくわかる。
 こういう鼓がふるとき、外套の袖をしばらくつき出していると、何百という小人の国の鼓が、しずかに袖の上につもってゆく。雪山の人里はなれたところで、雪の上に腰をおろして、じっとこの鼓を見つめていると、だれの心にも少年の日の夢がよみがえってくる。〉
中谷宇吉郎「誰も生まれないまえから雪は降っていた」


 
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by bookrium | 2010-01-15 15:09 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)