〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


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宮崎孝政の痕跡

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石川県立図書館で借りた、宮崎孝政が生前出した3冊の詩集。大正15年『風』、昭和4年『鯉』、昭和6年『宮崎孝政詩集』。

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『風』を開くと、宮崎孝政の字が。かわいい字です。

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森林社から大正15年9月10日に発行。孝政はその月に、このはじめての詩集を寄贈していました。
序詩は室生犀星。〈すなどりの子、網をもて/かたみに己が寂しさを打たなむ。〉
序文は杉江重英。〈宮崎の詩を讀んでゐると、どこかはげしい彼自身の性格が、想ひ浮かべられて來るやうである。はげしいが、しかしどこかまた物寂しげな様子の、彼自身の姿も想ひ浮かべられて來るやうである。〉

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『鯉』のカット。孝政は大頭だったみたいです。

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鯉社から昭和4年8月7日印刷、9月10日発行。9月2日に寄贈されています。
序詩の「鯉」やっぱりいい。
〈あいつはやがて氷をわるだらう/ あいつが自分の額で/氷をひりひりひきさいてゐる音だ〉

『能登』夏号で取り上げた宮崎孝政。もう一度ゆっくり、また読んでみたいなと思っています。




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by BOOKRIUM | 2018-10-20 20:35 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)
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地産地消文化情報誌『能登』33号が発売です。
今回の特集Iは、今年の能登國千三百年、歴史散歩の最後を締める珠洲郡です。
「珠洲焼の里」を訪ねる。表紙のステキなお料理の写真。黒い器に映えます。
珠洲焼の特集をした雑誌は、20年位前のアクタス以来かなと思います。より広く、古陶も現代もわかりやすい内容です。
珠洲焼が戦国時代に一度途絶え、40年前に復興し、現在までの年表もわかりやすいです。
魅力あふれる古陶。個性あふれる窯元。取材を受けたみなさんの珠洲焼への思いや言葉、じっくり読みたいです。
6月の陶磁研究家森由美さん、珠洲焼作家篠原敬さん、泉谷市長の鼎談が収録されているのも貴重です。
珠洲焼の器が出てくる料理店の紹介と、お料理の写真もたのしい。
珠洲焼をこれだけ深く取り上げる雑誌は、当分出ないと思います。ぜひいろんな方に見てほしいです。

特集IIは古民家で憩う。農家レストランで行きたいお店がまた増えました。

芝雪の連載「能登文学紀行」の第4回は〈宮本輝 わかれの光〉。
『幻の光』とエッセイについて書きました。
連載1年経ちました。調べて読んで書いて。たのしいです。
この1年分、取り上げる人ははっきり決めていました。第1回は加能作次郎しかない、と。1年続いたら、次の冬に取り上げたい人もずっと決めていたので、今コツコツ調べて読んでます。たのしいです。
調べていくなかで、自分が昔の地元の雑誌を見て感銘を受けたように、『能登』も時間が経っても、珠洲焼をしたい若い人や、能登を調べている人、能登の文学を知りたい人に、伝わればいいなと思います。



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by bookrium | 2018-10-14 17:41 | 本のまわりで | Comments(0)

お茶席

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今日から3日間行われる金沢城・兼六園大茶会。中村記念美術館の旧中村邸でのお茶席に行ってきました。
自分の急須が使われているのを見て、緊張しました。
勉強になりました。

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by BOOKRIUM | 2018-10-06 20:15 | 陶芸 | Trackback | Comments(0)

住井すゑ「ふしぎ」

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91から95年の「新潮文庫の100冊」案内。92年はないです。
角川文庫、集英社文庫と合わせて何十年、毎年3冊もらっても、どんどん溜まるから捨ててしまったのですが、この4冊はキャッチコピーも好きで、こどもの時何度も読み返しました。95年は冒頭の文章もそれぞれ載っていておもしろい。

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93年のブックエッセイには、住井すゑの「ふしぎ」が載っています。この文章が昔からすごく好きです。93年は2冊持っていたので、ひとつは切り抜きました。

〈何がふしぎと言って、人と文字のかかわりほど、不思議なものはありません。もし、人の世に文字がなかったら、人はどのような暗がりに落ち込み、迷い込み、うめきつづけて居なければならなかったか? 想うだけでわたしは慄然とします。〉

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〈文字は光です。それはすべて照し、すべてを温め、すべてを育みます。人為でありながら、それは法則のように機能します。私には、これも亦不思議で、この不思議の前には、ただ、笑って頭を下げているしかありません。〉

短い文章ですが、〈文字は光です。〉この言葉は、こどもの時に明るく打たれました。〈文字〉に、笑って頭を下げて生きていくのがいいです。

〈さて、このような偉大な文字の世紀にめぐり会えて、私たちは、いったい、これをどう受け止め、どう消化すべきなのでしょうか。
「それは、その文字の世界に飛び込む以外にない!」
どう考えても、これ以外に答えが浮かびませぬ。そして、おそらく、これが一番のみちなのでしょう。
幸いにして、何の身構えもなく、易々と飛び込める文字の世界があります。"文庫"という名の、文字の世界です。〉

ある夏から今まで、何度読んだかわかりません。
この文章をたいせつにして、連載の文章を書いています。
住井すゑは1902年生まれ、1997年に亡くなりました。この文章は91歳のときの言葉です。

〈宇宙の神秘とも、易々とふれ合えるこの道を、皆さまと共に歩めるしあわせに感謝します。〉






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by BOOKRIUM | 2018-10-03 15:55 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)