〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本のある生活です。


by bookrium
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タグ:詩とか ( 53 ) タグの人気記事

夏至――『六月』

夏至……太陽が天球上で夏至点に達し、北半球の昼の長さが一年で一番長く、夜が一番短くなる日。
北回帰線上の観測者から見ると 夏至の日の太陽は、正午に天頂を通過する 。

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〈海の青が薄くなると、それだけ、空の青が濃くなってゆく。
 街に青のスーツが目立ってくる。それに従って、山野の青が消えてゆくのだ。
 六月――、移動する青の一族。その隊列を横切るために、私は旅に出なければならぬ。〉
『井上靖全詩集』より
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by bookrium | 2014-06-21 00:54 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)

〈もう一つ、五月のそよ風をゼリーにして持つて来て下さい。非常に美しくておいしく、口の中に入れると、すつととけてしまふ青い星のやうなものも食べたいのです〉

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立原道造が24歳で亡くなる1週間ほど前に、ほしいものがないか聞かれ、残した言葉。




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by bookrium | 2014-05-28 22:20 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)

清明――『柿の種』

清明……桜や草木の花が咲き始め、万物に清朗な気が溢れて来る頃。 

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〈宇宙の秘密が知りたくなった、と思うと、いつのまにか自分の手は一塊の土くれをつかんでいた。そうして、ふたつの眼がじいっとそれを見つめていた。
 すると、土くれの分子の中から星雲が生まれ、その中から星と太陽とが生まれ、アミーバと三葉虫とアダムとイヴが生まれ、それからこの自分が生まれて来るのをまざまざと見た。
 ……そうして自分は科学者になった。
 しばらくすると、今度は、なんだか急に唄いたくなって来た。
 と思うと、知らぬ間に自分の咽喉(のど)から、ひとりでに大きな声が出て来た。
 その声が自分の耳にはいったと思うと、すぐに、自然に次の声が出て来た。
 声が声を呼び、句が句を誘うた。
 そうして、行く雲は軒ばに止まり、山と水とは音をひそめた。
 ……そうして自分は詩人になった。〉
寺田寅彦「短章 その一」


柿の種 (ワイド版岩波文庫)
寺田 寅彦
岩波書店
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by bookrium | 2014-04-05 00:03 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)

啓蟄――『晩年』

啓蟄……大地が暖かくなり、冬の間地中にいた虫(蟄)が穴を開いて(啓いて)動き出す日。一雨降るごとに気温があがってゆき、春に近づいていきます。春雷が一際大きくなりやすい時期です。

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〈僕は君を呼びいれ
 いままで何処にゐたかを聴いたが
 きみは微笑み足を出してみせた
 足はくろずんだ杭同様
 なまめかしい様子もなかった
 僕も足を引き摺り出して見せ
 もはや人の美をもたないことを白状した
 二人は互の足を見ながら抱擁も
 何もしないふくれっつらで
 あばらやから雨あしを眺めた〉
室生犀星『晩年』より




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by bookrium | 2014-03-06 00:40 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)

雨水――『雪』

雨水……雪溶けて雨水ぬるむ。もう雪は降りません、降るなら雨。積もった雪も溶け始めます。

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〈ラジオは、裏日本一帯の猛吹雪を報じている。陸奥湾にも、能登半島の海岸にも、東尋坊のきりぎしにも、いま、雪はしんしんと降っているのだ。細長い日本の国の半分の、大きい家にも、小さい家にも、草にも、木にも、ラッセル車にも、雪はこやみなく降っているのだ。
 こんな晩、ぼくはいつも想像する、どこかの海峡の底ふかく、真赤な花が、美しくひらいているのを。この雪の下にひれふしたあらゆるもののこころが、そこで一つにかたまって、じっと堪え、忍び、春を待っているのを。〉『井上靖全詩集』新潮文庫

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by BOOKRIUM | 2014-02-19 18:29 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)
立春(Beginning of Spring)……初めて春の気配が現れてくる日。この日以降初めて吹く南寄りの強風を「春一番」といい、以降、2回目、3回目を「春二番」「春三番」と言います。

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〈風は北風 冬風
 誰を誘いに来たのか
 子供は風車まわし まわされ
 遠くの空へ 消えてゆく

 小春おばさんの家は
 北風が通りすぎた
 小さな田舎町 僕の大好きな
 貸本屋のある田舎町

 小春おばさん 逢いに行くよ
 明日 必ず逢いに行くよ

 風は冷たい北風
 はやくおばさんの家で
 子猫をひざにのせ いつものおばさんの
 昔話を聞きたいな

 小春おばさん 逢いに行くよ
 明日 必ず逢いに行くよ〉
新潮文庫 井上陽水『ラインダンス』より
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by bookrium | 2014-02-04 19:33 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)
大寒……寒さが一年の中で最も厳しくなる頃。

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〈いのちとはなんだろうか?
 それは、夜の闇のなかで
 またたく蛍の火。
 それは、冬場にバッファローの
 吐く白い息。
 それは、夕暮れの
 草むらを走りぬけて
 いずこかへと姿を消した小さな影。〉

  チーフ・クロウフット(イサボ・マキシカ) ブラックフット
  スタン・パディラ編 北山耕平訳『自然の教科書』より
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by bookrium | 2014-01-20 23:59 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)
小寒……寒さが本格的に厳しくなってくる頃。この日から小寒の季節に入ることを「寒の入り」と呼ぶ。節分までが寒の内。

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〈そのころは、よく雪がふった。

 雪がふってくると、最初に、

 空が消えてしまう。それから、

 影が、物音が消えてゆく。

 鳥たちが消え、樹木たちが消え、

 往来が消えて、一日が

 ふりつづける雪のむこうに、

 きれいに消え去ってゆくようだった。

 あらゆるものが消え去って、

 朝には、世界がなくなっているかもしれない。

 ふりしきる雪のなかに、もし 

 ずっと立ちつくすと、それきり、

 じぶんもいなくなってしまうという気がした。

 雪がふってくると、

 すぐそこに、彼方があらわれる。

 雪のふりつづく日に、 

 雪の向こう側へいってしまったら、

 途をうしなってしまう。

 もう、大雪はふらなくなった。

 雪けぶる夜の、冬の幽霊たちもいなくなった。 

 それでも、雪の季節が近づくと、

 すぐこの彼方へ静かに消えていった、

 いつのまにかいなくなった人たちのことを、

 ありありと思いだす。

 生きているときは遠かった人たちも、

 死の知らせを聞くと、

 どうしてか近しく、懐かしく思われる。

 そうなのだ。もっとも遠い距離こそが、 

 人と人とをもっとも近づけるのだ。

 いま穏やかな冬の日差しのなかで思い知ること。〉「雪の季節が近づくと」長田弘


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by BOOKRIUM | 2014-01-05 15:14 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)

冬至――『冬が来た』

冬至(Winter solstice)……北半球で太陽が最も低く、夜が最も長くなる日。

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〈きっぱりと冬が来た
 八つ手の白い花も消え
 公孫樹(いてふ)の木も箒になつた

 きりきりともみ込むやうな冬が来た
 人にいやがられる冬
 草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

 冬よ
 僕に来い、僕に来い
 僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
 
 しみ透れ、つきぬけ
 火事を出せ、雪で埋めろ
 刃物のような冬が来た〉伊藤信吉編『高村光太郎詩集』より

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by bookrium | 2013-12-22 14:48 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)

大雪――『見えない木』

大雪……雪が激しく降り始める頃。

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〈雪のうえに足跡があった
 足跡を見て はじめてぼくは
 小動物の 小鳥の 森のけものたちの
 支配する世界を見た
  (中略)
 たとえば一羽の小鳥である
 その声よりも透明な足跡
 その生よりもするどい爪の跡
 雪の斜面にきざまれた彼女の羽
 ぼくの知っている恐怖は
 このような単一な模様を描くことはけっしてなかった
 この羽跡のような 肉感的な 異端的な 肯定的なリズムは
 ぼくの心にはなかったものだ

 突然 浅間山の頂点に大きな日没がくる
 なにものかが森をつくり
 谷の口をおしひろげ
 寒冷な空気をひき裂く
 ぼくは小屋にかえる
 ぼくはストーブをたく
 ぼくは
 見えない木
 見えない鳥
 見えない小動物
 ぼくは
 見えないリズムのことばかり考える〉
田村隆一『見えない木』


 
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by bookrium | 2013-12-07 23:55 | 当世本二十四節気 | Trackback | Comments(0)