〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


by bookrium
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借りた本

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よしもとばななのエッセイ3冊。
2013年の『すばらしい日々』の表紙の写真は吉本隆明の手帳。
この本は潮千穂さんの写真が美しくて、文章と調和していて借りました。

〈もしも、だれもが「自分のことは自分でしっかりやる、でも、愛するあなたはとにかくすこやかでいてほしい」と思える時代になったら、どんなにいいだろう。〉「すこやかに」

2016年の『イヤシノウタ』。この本は天を切り揃えてないのですが、本の静かな軽やかさや、目次の美しさ、佇まいに、合ってるなと思いました。表紙はハルノ宵子。

〈毎日いろいろなことを考える。
ふだんものを考えない人の分まで観察して、どうなったらその人独自の幸せなあり方に達することができるのかを考えるのが私のいちばんの才能だ。(中略)
実現できるのは本人達だけだから、どの道を通っていってもいいと思う。ただ、その道を照らすカンテラみたいなものが私の言葉だといい。
私自身でなくていい、私の言葉の光のかけらが、照らしてくれたらいい。〉

〈これが私の人生で、これが私の仕事。
ほんとは他のこともしてみたかったけれど、これがこの世にたったひとりの私。
だからこの道をゆっくり歩いていく。
私が得た光のかけらはあまり目立たないけれども、後から来て同じ道を歩いている人がもし気づいて拾ったら水や食料と同じぐらいに役に立つかもしれない。そんなことをいつも願っている。〉「かけらたち」

この文章で、室生犀星の詩「まだ見ぬ友」にあった〈私が行く道は万人の来ない道だけれど 私によく似た人の来る道だ〉を思い出しました。

2015年の『小さな幸せ46こ』。両親が同じ年に亡くなった時期、〈自分の書いている小さな幸せに自分が救われる〉そんな気持ちで続けたという連載をまとめた本。

〈きっと私は足元を見つめては小さな幸せを数えているでしょう。そこは変わらない、自分のいいところだと思っています。〉

今よしもとばなの本に惹かれるのは、ここに取り上げた言葉のかけら、小さな幸せが、癒しを感じるからだと思います。
誰かを喪い、変化を受け入れながら、変化しない部分もある。流動的なのに芯がある、読むとそんな感じがします。

〈それが遠い夢だとわかっていても、やっぱりそれを夢見て、自分の家族から、まわりの人から、なるべくそう思えるように今日も種を蒔いて育てていきたい。
すこやかさの種を。〉


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by bookrium | 2017-06-28 21:11 | 借りた本 | Trackback | Comments(0)

最低で最高の関係

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〈松浦さんのしたいことは、ジャンルは違うけれど私とかなり近いことで、それはたぶん「夢がなければ生きていても意味がない」という旗を掲げた、世代的なものだということ。そのために生きて死んでいった人たちの志を継ぐものたちだということ。〉

よしもとばななのエッセイ『人生の旅をゆく2』。「最低で最高の関係」という文章で、松浦弥太郎さんについて書かれています。

〈小さい頃や若い頃に、本に救われ、本に寄り添って生きてきたことがある人だということ。〉

長い川沿いを歩いて、中目黒にある松浦さんの古書店カウブックスで本を買って、コーヒーを飲んで、息子と外のベンチで座り、仕事を終えた夫を待つ。

〈さあ、ごはんでも食べに行こうか、と立ちあがるとき、私はこのお店に長いあいだ幸せをもらっていることを感じる。〉

〈この美しい書店が長く続いていることは希望の光みたいなものなのだ。〉

13年位前に、中目黒のカウブックスに行ったことがあります。
松浦さんの『最低で最高の本屋』という本が大好きで、実際行ってみて、そこにカウブックスがある、ということがうれしかったことは、忘れられません。
今も続いていて、よしもとばななさんの文章に綴られていることが、うれしいです。

よしもとさんの本を翻訳しているイタリア人を連れていったら、とても喜んでじっくりと本を見てたくさん選んだこと。

〈彼は幸せそうに「こんなすばらしい書店、イタリアにもあったらどんなにいいだろう」と言った。
この言葉は、松浦さんがしたかったことを叶えているのではないかと思う。〉


このエッセイを読んで、何年たっても、行けばそこにちゃんとある。あるべき本があって、心地よく過ごせる。そんな古本屋が今もある、ということが、なんだかうれしく、あたたかい気持ちになりました。


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by bookrium | 2017-06-20 14:17 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)