〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


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c0095492_2261098.jpg小沼丹の本の解説で紹介されていたチャールズ・ラムの詩のリフレーン「みんな、みんな、往ってしまった、古なじみの顔が」。この詩に通じるあかるいかなしさが小沼丹の本にはある。

小沼丹を読んでいると(特に随筆や私小説的な大寺さんもの)、なぜか谷内六郎の絵の世界を覗いている気にもなってしまう。自分をとりまく、おだやかな世界。淡々と明るく澄んでいるようで、ときどきはっと突き放される、というような。

小沼丹の文章は大好きなのだけど、それをうまく説明できない。うまく言えないので人にすすめにくい。小沼丹の文章が好きだという人にも、まだ出会ったことがない。そんな人がいたらたちまち好感をもってしまいそうだ。

この講談社文芸文庫『小さな手袋』は好きな一冊。巻末の中村明「人と作品」はわかりやすく、温かみのある、小沼丹の紹介文となっています。この中村さんは小沼丹の小説がとても好きだったんだなぁ、と勝手に好感を持ちました。

表題作の「小さな手袋」は好き。古い短編映画のようだと、映像を想像する。

この文庫本は2004年の10月11日に購入した。なぜわかったかというと、その時のレシートが挟まったままだったから。金沢・香林坊109地下の喜久屋書店の最終営業日に買った。今はあの棚達はないんだなぁと、なつかしく思い出す。


小さな手袋 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
小沼 丹
講談社
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# by bookrium | 2007-11-04 22:06 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)

詩人 長沢哲夫

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長沢哲夫の詩が好きです。はじめてその名前を知ったのは晶文社の山路和広·著『フライングブックス ことばと音楽の交差点』。新しい古本屋を作る過程がとてもエキサイティング。古本屋をしながら出版もする。その一冊で長沢哲夫の詩集
『ふりつづく砂の夜に』から、宮内勝典の序文「一秒の死を歩きながら」を転載している。

宮内勝典の序文を何度も何度も読んだ。40年前に一緒にトカラ列島を旅したこと。長沢哲夫、ナーガは、異なる道を歩んで諏訪之瀬島に移り住む。消息も絶え、沈黙を続けていても、宮内は〈だが私は、ナーガがだれよりも深く生きているはずだと感じていた。〉

〈ナーガは「離島」にいるのではない。辺境にいるのでもない。黒潮の真っただ中で、地球的な時間で、いま、まさに生成しつつある世界の切っ先を生きているはずだ。詩人とは火山のようなものだ。しばらく鳴りをひそめていても、いつか、かならず噴火してくるだろう。私はそのときを、遠くから待ちつづけていた。

そして、ナーガは噴火した。〉


ナーガの詩の世界の深い感覚は、宮内の中に頻繁に蘇ってくる。

〈たとえば、東京の雑踏を歩いているとき、交差点で信号が変わるのを待っているとき、いつもナーガの詩が浮かんでくる。

一秒の死を歩く 海辺

私はその言葉を、もう一千回、一千秒ぐらい意識してきたような気がする。ナーガの友であることを、私は未来に誇る。〉


この序文を読み終わると、いつも深い感慨が湧く。

私はナーガと宮内勝典のこの関係がうらやましいのだろう。

大好きな詩はいくつもある。海や山を、色や匂いを深く感じる生活をしたいせいか、ナーガの詩の世界が近くなってくる気がする。「だれよりも深く生きている」とわたしも感じてみたい。



  雨のあとで

 海が体を洗い 心を洗う時
 ぼくらは出会うだろう
 海が体を洗い 心を洗う時
 そんな時はいつでも
 ぼくらは出会うだろう
 たとえそこにあなたも
 私も いなくても
 海が体を洗い 心を洗う時
 ぼくらは出会うだろう
 いくつもの雨
 どしゃぶりの
 いくつもの終わりのない雨のあとで




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# by bookrium | 2007-06-10 18:48 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)
c0095492_11542626.jpg手前の小さなノートには、わたしの好きなことばたちが書かれています。手帖に入る程小さなノート。

裏表紙には「2004~2006.8.19」と書かれています。中に書かれているのはその当時に読んだ本の中からハッとしたことばたち。1頁目が山田詠美で今見ると恥ずかしい。最終頁は松田公太(タリーズコーヒージャパン)。中には、筒井ともみ、サガン、瀬戸内寂聴、宇野千代、福田恒存、ナバホの歌、堀文子、江國香織、安野光雅などなど…。

何度読んでも、いいなと思うことばがあります。


ナバホの祈りの歌
〈わたしは地球を見る。
 彼女をのぞき込み、 
 笑いかける。
 なぜなら、彼女は、わたしを
 幸せな気持ちにしてくれるから。
 地球も
 わたしを見返して
 笑いかけてくれる。 
 願わくは、彼女のうえを行く、
 わたしの歩みが
 晴れやかで、軽やかで
 ありますように。〉


福田恒存
〈吾々が道を歩いている時、一里先の山道に目を奪ふ様な桜の大樹がある事を吾々は知らない。〉


住井すえ
〈ことばは光です〉


宇野千代
〈私は忘れたい。いや、忘れている。そんなことなどなかったことのように忘れている。許し難い、と思われている自分の罪も忘れ去っているのと同時に、自分が人からこうむった辛かったことも、忘れている。そんなことなど、なかったことのように忘れている。この、忘れ去っている、と言うことの愉しさ。私は凡ゆることを覚えていて忘れないほど、強くはない。私は弱くても好い。〉


江國香織
〈本を読むことは逃避であると同時に、一人で外にでるための練習でもあった。一人で旅をすること、物を見ること、理解すること、そして一人で生きていくことの、シンプルな練習でもあった。〉



時間をかけて集まったことばのノートは、小さなわたしの宝物です。



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# by bookrium | 2007-03-16 11:54 | Trackback | Comments(0)
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以前このブログで、平凡社新書の「『面白半分』怪人列伝」を取り上げたところ、著者の佐藤嘉尚さんからコメントが寄せられました。メールでやり取りして、面白半分のバックナンバーをお借りして、見せていただけることになりました。うれしいです。ブログをはじめるとこんなサプライズもあるんだな、と思いました。

お借りしたのは、野坂昭如責任編集の1972年7月号(vol.7)と、1980年7月号(NO.121)。

上の表紙イラストは長尾みのる。下は古川タク。

目次を見ると、巻頭を随筆ではなく「随舌(ずいぜつ)」が飾ります。随舌はその人の語りを生かした聞き書きです。これはどちらにも載っています。
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# by bookrium | 2007-02-24 17:56 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)
c0095492_19525436.jpg「石川近代文学全集3 室生犀星」です。今まで詩しか読んでいなかったので、小説の犀星は新鮮。

「性に眼覚める頃」「或る少女の死まで」など有名な作品を読む。金沢の犀川大橋ほとり、犀星の育った雨宝院を思い出しながら。若い日々の屈託がいいです。

「後の日の童子」という作品が印象的。作家の元にたびたび訪れる童子。作家も妻も死んだ我が子とわかっていて歓迎する。生まれた赤ん坊に童子は近寄らない。日が暮れると童子はどこかへ帰ってゆく。足跡に這うのはヤスデ。童子はだんだん作家と妻の目にはかすんで見え、遠くなっていく…。

短い話ですがせつなくていいです。

犀星の詩を知ったのは高校生の時。女優の緒川たまきさんが「昨日いらつしつてください」という詩を紹介しているのを目にしました。図書館で借りてノートに書き写したのを覚えています。

その後は21位の時に、広坂の近代文学館前にあった頃のダックビルで、文庫本の犀星の詩集を手にしました。その本で「まだ知らない友」という詩を読みました。

広坂当時のダックビルはガラス貼りの四階からレンガの近代文学館や桜の緑を見下ろして、静かな空間でした。当時はブックカフェに馴染みがなかったので、飲み物をたのまなかったことをやや後悔。たくさんの本が静かに収まっていて、眺めていると本たちがいろんな世界につながっている気がしていました。
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# by bookrium | 2007-01-30 19:52 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)

朝の虹

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虹のはじまりを見つけました。




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# by bookrium | 2006-12-02 08:18 | 奥能登歳時記 | Trackback | Comments(0)

一箱古本市

10月22日、日曜日の朝、不忍に到着。
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往来堂書店さんで、先に送っておいた箱を受けとる。箱を抱えて坂を登って、今回の会場のひとつの宗善寺さんへ。写真は入り口に貼られていたポスター。わくわくします。
箱の店主さんたちが続々と集まり、ボランティアの助っ人さんの指示に従う。お寺のご厚意でテーブルを借り、一列に箱を並べることに。箱を飾ったり思い思いに準備して、11時まで箱にふたをする。オープンした時のBOOKRIUMの箱はこんなかんじでした。
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オープンと同時にお客さんがちらほら途切れなくいらっしゃっいました。日中はお天気でした。
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宗善寺さんでは14の箱が出ていました。箱に店主はずっとついていたので、他の人の箱写真は撮れなかったけど、お客さんのいない時にちらっと見てきました。箱も人によって違って、おもしろいです。トランクを使っていたり、布でかざりつけていたり。看板もかわいいものを作っていたり、シンプルにしていたり。 

BOOKRIUMの記憶を元に、入り口から箱の順番を書くと。(敬省略)

ニート村
紙綴り
跳ね太郎
糸巻屋
BOOKRIUM
ちくわ文庫
サノシゲ食堂
岡崎武志堂
旅猫書房
石ころ書房
古書 無人島
伊藤石油店 お花茶屋支店 
orz文庫
ニエクボ2号店

特に両隣の糸巻屋さんとちくわ文庫さんにはお世話になりました。ありがとうございます。近かった跳ね太郎さんやサノシゲ食堂さん、わたしが箱を離れた時にお客さんが本を買おうとしたので「お客さんよ~」と呼びに来てくれた紙綴りさん、ありがとうございました。本の売れる間に、本の話をしたりして、ほのぼのと時間はあっという間に過ぎて、楽しい1日でした。
サノシゲ食堂さんとは佐野繁次郎の装丁本がかぶっていなくてホッ。見たらなんと森茉莉の「贅沢貧乏」を3人が出してました。同じ新潮社の箱入り。
最後に雨が小降りになって、17時閉店時の箱。この後、左奥の布貼り文庫本ノートが売れました。

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17時に閉店して、みんなで後片付け。宗善寺さんにお礼を言い、打ち上げ先の千駄木交流館へ向かう。雨がひどくて乗り合いタクシー。
交流館で集計結果の発表を待つ間に、しのばず君の看板を撮ったり。

千駄木交流館での各賞の発表。売上1位の店主さん、販売点数が1位の店主さん、後援のオヨヨ書林さん、往来堂書店さん、古書ほうろうさんの選んだ箱も表彰。リコシェさん、今回の一箱古本市を企画したNさんIさんからも、店主さんを前に呼んで表彰。それぞれプレゼントは違って、人柄が出ておもしろい。お店の券だったり、マイセレクトCDだったり、ケーキだったり…。
そして、南陀楼綾繁賞の発表で、宗善寺さんで出店した石ころ書房さんと、BOOKRIUMが選ばれました。 

南陀楼さんの選んだポイントは、「意外性」と言っていました。南陀楼さんが石ころ書房さんで買ったのは、外国の絵本に、たぶんお母さんがこどものために訳を書き込まれたもの。BOOKRIUMでは、『とつくにびと』という本をすすめた時に、カバーを外して本体のかわいさまでアピールしてきたことなど。

石ころ書房さんには、南陀楼さんの新刊『路上派遊書日記』のサイン本を。
BOOKRIUMには、戦前のマッチラベル貼込みシート5枚! かわいい。 一枚一枚がおもしろいです。「デザインに興味がある人ならいいでしょ」とおっしゃってました。うれしいなぁ。マッチの広告コピーがまたおもしろい。色もかわいかったりモダンだったり。ありがとうございました。内澤旬子さんが表紙のすみっこにちょこっと、モクロー君を書いてくれていて、うれしいです。

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BOOKRIUMの販売した本は、

出品 39点
売数 31点
販売金額 20850円 
という結果でした。平均よりちょっとよい結果です。 

箱についてお客さんとやりとりできるのは、楽しいものでした。あんなふうにお客さんに本をアピールすることはないです。
持って行った本はみんなすてきだな、と思う部分があって、手にとってもらえてうれしいです。
みんな手に取るけど戻す本もあって、値付けが高いのか?とどきどきしたりしてました。 
お客さんも本が好きだったり、町の人が寄ってきたり、おすすめしたり、話したり、なんだかお客さんと近いイベントで楽しかったです。



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# by bookrium | 2006-10-23 17:35 | 本のまわりで | Trackback | Comments(4)

泉鏡花と獅子頭

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道にふとある獅子頭。夜なので幻想的です。鏡花の『天守物語』のラストに出てくる獅子頭を思い出します。

金沢や石川のところどころに鏡花の作品の面影があって、それをふっと感じるのはしあわせなひとときです。
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# by bookrium | 2006-10-18 22:43 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)