〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


by bookrium
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うるしの話

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伝統工芸や職人というのに20歳すぎから興味を持って、各地の工芸の本や民芸の本、職人の聞き語りなどを読んだりしていました。
ものを作る仕事にはいろいろあるけれど、石川育ちなので、加賀友禅、輪島塗、九谷焼、山中漆器など子供の時から馴染みがあります。

きのう休みだったので石川県立輪島漆芸美術館へ初めて行ってきました。展示は第25回日本伝統漆芸展。作品名や作者と一緒に技法や材質が表示されていて、本で読んでた技法は実物はこういうのなのかぁと興味深かったです。

タッチパネルで松田権六氏の製作風景をテレビで見られてうれしかった。30分位。大場松魚氏のもあったけど、集中して見て疲れたのでまた今度。

ミュージアムショップで朝日新聞社の「週刊 人間国宝」を見つけて、松田権六、大場松魚の号を購入。松田権六の表紙の写真にかなりグッとくる。中も作品写真がきれい。さっきテレビで製作風景を見た「蒔絵槇に四十雀模様二段卓」が載っていて、おぉ、となる。
「蓬莱之棚」は岩波文庫の「うるしの話」の表紙にも使われています。石川県立美術館蔵だけど、未だ見ず。写真でも美しいなぁ、実物早く見たい。文庫の解説を大場松魚氏が書いていて、「松田権六先生の思い出」という文がとても好きで何度も読み返しました。亡き師を慕うあたたかい文章だと思う。

その中で制作を手伝ったこの棚についても触れ、東京の空襲が激しくなるなか、いつでも運びだせるように布団にくるんで枕元に置いていた、とか。
『週刊 人間国宝』によるとこの棚の底裏には敗色濃い戦況が克明に記されているそう。日本がどうなるかわからない中で作り上げたというのが凄い。

『うるしの話』もとてもおもしろい一冊。3日3晩にわたって語った話を半分削ってこれだけに。漆というふしぎな樹液、さまざまな技法を詳しく紹介しています。
修行時代の話もおもしろく読みました。7歳から始め、東京へ出て、学校は出たけど仕事がなくペンキ屋をやって傾いた家の2階に住んでたまに1階の魚屋手伝ったり、貧乏していたこともあったそう。

最近輪島塗の本を読んだら出てくる職人みな尋常小学校を卒業してすぐ弟子に…とかだった(故人だが)数えで13とか。
なので文藝春秋 赤木明登『漆 塗師物語』は27歳から輪島塗の世界に飛び込んでいるので、凄いなぁと読む前に思う。この本図書館に寄贈されてて何度も借りて読み返している。おもしろく読みやすい、文章は好みが分かれるかもしれない。東京から能登へ家族と移って暮らしの根がはっていき、やがて自分の作りたい器の世界を見つけていく。塗師になるまでの成長物語。


 

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# by bookrium | 2008-02-13 01:45 | 読んだ本 | Trackback | Comments(0)
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ブルース·インターアクションズから2005年に出た本。この横長の本は表紙に「はじめに」という文章が書かれている。立花文穂が装丁。なぜか惹き付けられる。

松浦弥太郎さんの文章は好き嫌いがちょっと分かれるかもしれません。「くちぶえサンドイッチ」や「くちぶえカタログ」から、特に随筆を意識しているのか文章が変わってきているように思う。

「くちぶえカタログ」は身の回りを簡素に、自分の大切にしているものや思いなどを綴った文章。衣·食·暮·職·本·旅について、一話ごとに写真をつけて。

ひとつひとつはなんでもないただのモノ。セーターやソックスにリーバイスの501、パンケーキにサンドイッチ。思い出や時間を写真や言葉で感じる。(この本の良さには写真の力も大きいと思う)

「COW BOOKS」という文章は、何度も何度も読み返した。いろんなことを考えさせられます。

「随筆とエッセイ」という文では随筆とエッセイの違いを明確にしようと研究する老人が出てくる。本当か創作かわからないけど、とても興味深い。

「空を衣装に、大地を枕に」――「くちぶえカタログ」の表紙に引用されたこの言葉がとてもすてきだなと思った。「簡素に生きたい」という精神。

「簡素さとは軽やかで気楽で整然とし愛情を表現できることです。それはバランス、調和、謙虚さを持って、生きとしいけるものの良き隣人になるということです。真の豊かさとは何ひとつ必要としない暮しにあります。この本に書いた文章はそのはじめの一歩と考えています。」 


 
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# by bookrium | 2007-12-02 01:24 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)
c0095492_2261098.jpg小沼丹の本の解説で紹介されていたチャールズ・ラムの詩のリフレーン「みんな、みんな、往ってしまった、古なじみの顔が」。この詩に通じるあかるいかなしさが小沼丹の本にはある。

小沼丹を読んでいると(特に随筆や私小説的な大寺さんもの)、なぜか谷内六郎の絵の世界を覗いている気にもなってしまう。自分をとりまく、おだやかな世界。淡々と明るく澄んでいるようで、ときどきはっと突き放される、というような。

小沼丹の文章は大好きなのだけど、それをうまく説明できない。うまく言えないので人にすすめにくい。小沼丹の文章が好きだという人にも、まだ出会ったことがない。そんな人がいたらたちまち好感をもってしまいそうだ。

この講談社文芸文庫『小さな手袋』は好きな一冊。巻末の中村明「人と作品」はわかりやすく、温かみのある、小沼丹の紹介文となっています。この中村さんは小沼丹の小説がとても好きだったんだなぁ、と勝手に好感を持ちました。

表題作の「小さな手袋」は好き。古い短編映画のようだと、映像を想像する。

この文庫本は2004年の10月11日に購入した。なぜわかったかというと、その時のレシートが挟まったままだったから。金沢・香林坊109地下の喜久屋書店の最終営業日に買った。今はあの棚達はないんだなぁと、なつかしく思い出す。


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# by bookrium | 2007-11-04 22:06 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)

詩人 長沢哲夫

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長沢哲夫の詩が好きです。はじめてその名前を知ったのは晶文社の山路和広·著『フライングブックス ことばと音楽の交差点』。新しい古本屋を作る過程がとてもエキサイティング。古本屋をしながら出版もする。その一冊で長沢哲夫の詩集
『ふりつづく砂の夜に』から、宮内勝典の序文「一秒の死を歩きながら」を転載している。

宮内勝典の序文を何度も何度も読んだ。40年前に一緒にトカラ列島を旅したこと。長沢哲夫、ナーガは、異なる道を歩んで諏訪之瀬島に移り住む。消息も絶え、沈黙を続けていても、宮内は〈だが私は、ナーガがだれよりも深く生きているはずだと感じていた。〉

〈ナーガは「離島」にいるのではない。辺境にいるのでもない。黒潮の真っただ中で、地球的な時間で、いま、まさに生成しつつある世界の切っ先を生きているはずだ。詩人とは火山のようなものだ。しばらく鳴りをひそめていても、いつか、かならず噴火してくるだろう。私はそのときを、遠くから待ちつづけていた。

そして、ナーガは噴火した。〉


ナーガの詩の世界の深い感覚は、宮内の中に頻繁に蘇ってくる。

〈たとえば、東京の雑踏を歩いているとき、交差点で信号が変わるのを待っているとき、いつもナーガの詩が浮かんでくる。

一秒の死を歩く 海辺

私はその言葉を、もう一千回、一千秒ぐらい意識してきたような気がする。ナーガの友であることを、私は未来に誇る。〉


この序文を読み終わると、いつも深い感慨が湧く。

私はナーガと宮内勝典のこの関係がうらやましいのだろう。

大好きな詩はいくつもある。海や山を、色や匂いを深く感じる生活をしたいせいか、ナーガの詩の世界が近くなってくる気がする。「だれよりも深く生きている」とわたしも感じてみたい。



  雨のあとで

 海が体を洗い 心を洗う時
 ぼくらは出会うだろう
 海が体を洗い 心を洗う時
 そんな時はいつでも
 ぼくらは出会うだろう
 たとえそこにあなたも
 私も いなくても
 海が体を洗い 心を洗う時
 ぼくらは出会うだろう
 いくつもの雨
 どしゃぶりの
 いくつもの終わりのない雨のあとで




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# by bookrium | 2007-06-10 18:48 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)
c0095492_11542626.jpg手前の小さなノートには、わたしの好きなことばたちが書かれています。手帖に入る程小さなノート。

裏表紙には「2004~2006.8.19」と書かれています。中に書かれているのはその当時に読んだ本の中からハッとしたことばたち。1頁目が山田詠美で今見ると恥ずかしい。最終頁は松田公太(タリーズコーヒージャパン)。中には、筒井ともみ、サガン、瀬戸内寂聴、宇野千代、福田恒存、ナバホの歌、堀文子、江國香織、安野光雅などなど…。

何度読んでも、いいなと思うことばがあります。


ナバホの祈りの歌
〈わたしは地球を見る。
 彼女をのぞき込み、 
 笑いかける。
 なぜなら、彼女は、わたしを
 幸せな気持ちにしてくれるから。
 地球も
 わたしを見返して
 笑いかけてくれる。 
 願わくは、彼女のうえを行く、
 わたしの歩みが
 晴れやかで、軽やかで
 ありますように。〉


福田恒存
〈吾々が道を歩いている時、一里先の山道に目を奪ふ様な桜の大樹がある事を吾々は知らない。〉


住井すえ
〈ことばは光です〉


宇野千代
〈私は忘れたい。いや、忘れている。そんなことなどなかったことのように忘れている。許し難い、と思われている自分の罪も忘れ去っているのと同時に、自分が人からこうむった辛かったことも、忘れている。そんなことなど、なかったことのように忘れている。この、忘れ去っている、と言うことの愉しさ。私は凡ゆることを覚えていて忘れないほど、強くはない。私は弱くても好い。〉


江國香織
〈本を読むことは逃避であると同時に、一人で外にでるための練習でもあった。一人で旅をすること、物を見ること、理解すること、そして一人で生きていくことの、シンプルな練習でもあった。〉



時間をかけて集まったことばのノートは、小さなわたしの宝物です。



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# by bookrium | 2007-03-16 11:54 | Trackback | Comments(0)
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以前このブログで、平凡社新書の「『面白半分』怪人列伝」を取り上げたところ、著者の佐藤嘉尚さんからコメントが寄せられました。メールでやり取りして、面白半分のバックナンバーをお借りして、見せていただけることになりました。うれしいです。ブログをはじめるとこんなサプライズもあるんだな、と思いました。

お借りしたのは、野坂昭如責任編集の1972年7月号(vol.7)と、1980年7月号(NO.121)。

上の表紙イラストは長尾みのる。下は古川タク。

目次を見ると、巻頭を随筆ではなく「随舌(ずいぜつ)」が飾ります。随舌はその人の語りを生かした聞き書きです。これはどちらにも載っています。
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# by bookrium | 2007-02-24 17:56 | 好きな本 | Trackback | Comments(0)
c0095492_19525436.jpg「石川近代文学全集3 室生犀星」です。今まで詩しか読んでいなかったので、小説の犀星は新鮮。

「性に眼覚める頃」「或る少女の死まで」など有名な作品を読む。金沢の犀川大橋ほとり、犀星の育った雨宝院を思い出しながら。若い日々の屈託がいいです。

「後の日の童子」という作品が印象的。作家の元にたびたび訪れる童子。作家も妻も死んだ我が子とわかっていて歓迎する。生まれた赤ん坊に童子は近寄らない。日が暮れると童子はどこかへ帰ってゆく。足跡に這うのはヤスデ。童子はだんだん作家と妻の目にはかすんで見え、遠くなっていく…。

短い話ですがせつなくていいです。

犀星の詩を知ったのは高校生の時。女優の緒川たまきさんが「昨日いらつしつてください」という詩を紹介しているのを目にしました。図書館で借りてノートに書き写したのを覚えています。

その後は21位の時に、広坂の近代文学館前にあった頃のダックビルで、文庫本の犀星の詩集を手にしました。その本で「まだ知らない友」という詩を読みました。

広坂当時のダックビルはガラス貼りの四階からレンガの近代文学館や桜の緑を見下ろして、静かな空間でした。当時はブックカフェに馴染みがなかったので、飲み物をたのまなかったことをやや後悔。たくさんの本が静かに収まっていて、眺めていると本たちがいろんな世界につながっている気がしていました。
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# by bookrium | 2007-01-30 19:52 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)

朝の虹

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虹のはじまりを見つけました。




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# by bookrium | 2006-12-02 08:18 | 奥能登歳時記 | Trackback | Comments(0)