〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


by bookrium
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『世界にひとつだけの本』

〈あわただしく過ぎてゆく時の波に、
 ふと足元をすくわれそうになったとき、必ず、ひもとく本があります。
 その本には、ある女性の人生が描かれています。
 何処にでもある、ごくフツウの人生。
 でも、本の中の彼女に出逢うと、心の湖に波紋が幾重にも広がるように、
 ゆっくりと、優しい言葉が満ちていきます。
 今日は、どんな彼女に逢えるでしょうか。〉


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〈私の名前は、月原加奈子。三十八歳。旅行会社に勤めている。〉

そう言って始まる『Sound Library~世界に一つだけの本』というラジオドラマがあります。
それは、JFN系列で2010年春に放送が始まりました。
朗読は女優の木村多江さん。わたしの大好きな女優さんです。
脚本の北阪昌人さんは、このドラマの最初の頃のストーリーをPHPから本で出されています。

このお話は、月原加奈子という一人の女性の自伝の、いろんな出会いや別れを描いた本を開いて、朗読しています。
その時々の季節、神保町の旅行会社に勤める旅の好きな彼女の、思い出される人たち、お客様、同僚、過去の恋人、好きになった人、好意をよせてくれた人、友人、母、弟、警察官だった亡くなった父…。

平易な言葉で、穏やかに、優しい声で読み上げられる、月原加奈子という女性や出逢う人々の人生の瞬間が感じられる、とても大好きなお話です。

先日、300回を迎えたこのドラマを、2010年の6月頃から聞いていました。
その頃は土曜の11時にFMで流れていて、ラジオを普段聞かなかったわたしも、いつからか楽しみになっていました。
30分ほどのラジオでは朗読の合間に、ストーリーに沿った音楽が流れるのですが、番組の時間が変わって聞けなくなってからは、podcastで聞いています。こちらは音楽はなく、朗読のみです。

北阪昌人さんという人は、どうしてこんなに38歳のひとりの女性の人生での、様々なエピソードや気持ちを描けるのだろうと、いつもすごいなあ、と思います。
木村多江さんは、ひとりで、女性も、男性も、年齢や生きてきた人生の違う人々を、ひとりひとり声だけで想像できる、描けるということが、本当にすごいなあと思って聞いています。
神保町のどこかに、月原加奈子さんがいるような、耳を傾ける人の人生に、彼女の過去の思い出も少し寄り添うような、そんな気にさせてくれる物語です。

もう6年も聞いているのかという驚きと、自分の中に少しずつ、染み込んでいくような思いがあります。


このブログは最近書かなくなっていました。
2009年に、一番書いていたと思います。その頃の自分には本が必要だったからだと、思います。
2010年からは、陶芸をしたので、だんだん気持ちが移ってあの時の自分にあったこのブログの必要な気持ちはなくなっていったな、と思いました。
なかなか、本と陶芸に注ぐ中間地点の気持ちや、自分がこれからもどうしたいか分からない時があります。ただ気楽に好きに書けばよいのかもしれないですが。多少読んだりもするけど本から離れつつある自分が、心地よく聞いていた、長い時間をかけている物語が、この『世界にひとつだけの本』でした。

この物語も、いつかは終わりがくるのだろうな、と思う。でも、ひとつの支えになっている物語です。それは活字の、目に見えて触れる本とは違う、物語のたのしさをわたしに教えてくれました。
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Commented by キヨミン at 2016-03-25 21:04 x
素適な文章に出会いました。また、本まで出向きますね。
Commented by BOOKRIUM at 2016-03-30 22:30
キヨミンさま、ありがとうございます。ぜひまた本にいらしてくださいね!
by BOOKRIUM | 2016-02-04 23:49 | 好きな本 | Trackback | Comments(2)