〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本のある生活です。


by bookrium
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半村良『能登怪異譚』

〈おら長男(あんか)や、無愛想(あいそむない)な男やさかい、宴会(よばれ)ども行ったかて、いつまでもあして黙っているのやわいね。そやけど、あんたさんのことを嫌がっとのやないげさかい、気にせんといてくだしね。〉「簞笥」

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1987年に集英社から発行された、半村良の『能登怪異譚』。半村良の小説は、これと、伝奇SFという言葉も知らない高校生の時、友達にすすめられた『平家伝説』(銭湯の謎と平時忠と最後びっくりしたことしか覚えてない)しか読んだことがないです。

上に引用したのは「簞笥」の出だしの部分。「簞笥」は有名な話で、最初はアンソロジーで読みました。ザムザみたいにある朝目が覚めたら虫になるのと、市助みたいに家族が簞笥に乗るのと、どっちが不条理かなぁ…と思う(村上豊の挿絵が怖いので簞笥か?)。

この本には、「簞笥」「蛞蝓」「縺れ糸」「雀谷」「蟹婆」「仁助と甚八」「夫婦喧嘩」「夢たまご」「終の岩屋」という九つの話が収録されています。どれもよいけど、「縺れ糸」と「夢たまご」が好きです。
これらは能登の方言を使った、半村良の創作小説です。半村良は母親が能登の人らしく、戦時中疎開していたらしい、とも。はっきり能登のどのへんか曖昧ですが(悪戯をてんごう、と言うのははじめて知ったけど、どこだろう?)。
方言のせいで、実際の民話だと勘違いする人も。
すべて能登の(年寄りの)話言葉で書かれているのですが、わたしは結構自然に読むことができました。
このお話の〈能登〉はたぶん奥能登でしょうが、特に能登のどことも書かれてないです。実際は地域ごとにことばがちがうので、そのあたりを比べてもおもしろいかもしれません。写真の岩だらけの外浦(奥能登北部沿岸)・砂浜の内浦(奥能登南部沿岸)で、風習やことばも違います。
加能作次郎(富来)や杉森久英(七尾)の作品でも、能登のことばがちょっと違ってると思います(関係ないけど、バス停には奥能登一帯のバス停路線図があるのですが、門前を南下した剣地〜富来の間だけ省略されてて、加能作次郎って遠いなぁと思う)。

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『能登怪異譚』に出てきた言葉で特色あるなあ、と思ったことば。はじめて聞いた、知らないのもあった。

夜(よさる)、男の子・男児(ぼんち)、駄目(だっちゃかん)、少し(ちょっこり)、面妖な(もっしょい)、此様(こんなが)、悪戯(てんごう)、女房(かあか)、沢山(ようけ)、供(た)する、穏和(おっちゃい)な、恐(おっとろ)し、田舎(ざいご)、変な(もっしょい)、気味(きび)、子供達(ぼんらち)、ご坊様(ごぼさま)、親類(いつけ)、寒(さぶ)い、諾(おいね)、父達(とうとらち)、小(ちょんこ)い、訪(たん)ねて、……


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by bookrium | 2009-10-03 17:51 | 北陸の作家 | Trackback | Comments(0)