〈bookrium=book+aquarium〉本の海を回遊するブックリウムの、本と陶芸のある生活です。


by bookrium
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内沼晋太郎『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』

内沼晋太郎、という名前を知ったのは2004年に渋谷パルコのロゴスギャラリーで行われた「新世紀書店仮店舗営業中」だったと思う。
その前年、同じギャラリーで「これが僕たちのクラシック! オンライン古本屋的'60s~'80sクロニクル」という、北尾トロさんを中心としたオンライン古本屋の展示を見に行ったこともあり、「新世紀書店仮店舗営業中」も気になってサイトを見ていた。そこで内沼さんが代表のbook pick orchestraを見つけて、若い人たちのおもしろいサイトなので時々見たり、メールマガジンを楽しんでいた(でも一箱古本市にも関わりがあるのは知らなかった)。

いろんな媒体で紹介され、生まれ年が1つ違いと歳が近いと知っていたせいか、この人はどんな本を選ぶのだろう?と、とても気になっていた。

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2009年3月に朝日新聞出版から出たこの本は、両方からスタートして楽しめる本になっています(奥付けも両方にある)。
右開きの「本の未来をつくる仕事」は縦書き。2003年から始まる、内沼さんの今まで手がけたプロジェクト·ノートです。
左開きの「仕事の未来をつくる本」は横書き。紙質も違います。こちらは大学卒業後、就職した会社を2ヶ月ちょっとで辞めてから、「お金をもらわない仕事」をすることで「お金をもらう仕事」をするようになるまでを書いています。

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写真に撮ったのは、本にも紹介されていた、bookroom[encounter.]という予約制ブックルームで購入した〈文庫本葉書〉と、当時のフライヤー。

文庫本葉書は、その発想が結構衝撃的でした。古本一冊一冊をクラフト紙に包む。宛名を書く欄と、反対側には包む人が惹かれた本の一節。上はホッチキスで留めて、切手を貼れば冊子小包(ゆうメール便)で郵送可能。古本だから同じ物があまりない上、手間がすごくかかっている。誰かの選んだ痕跡に、郵送された切手に消印、宛名の下半分には相手へのメッセージ。3つの時間が重なる。

この本は、「本の未来」「仕事の未来」の両方のアプローチをして、〈共有〉という言葉がどちらにも出てくる。非常に印象深かった。

encounterの棚の本は最初は袋に入って中身がわからない。訪れた人は中身をパラパラ見て、メモに気に入った一節やメッセージを書いてそのページに挟み、棚に戻す。本棚にある未開封の本と、開封された本と、ふと現れる誰かのメモ。同じ場所で異なる時間に同じ本を〈共有〉している不思議さ。

本棚からはデイヴィッド·ストーリーの『救われざる者たち』を購入した。中のメモには〈2005.11.26〉〈3.12 PM01:50〉とか日時も書かれている。メモに書かれた誰かの言葉を読んで、今眺めて別に惹かれないな…と思っていたら、3年前の自分が挟めたメモに出会った――〈現実を求めよ。見せかけだけのものは棄てよ。〉冒頭にあるイェーツの詩。今もぐっときます。

文庫本葉書は一冊購入。印刷されていた一節。

〈Mさんが出てきて、やあ、ほう、これは、さあさあ、とたいへんな勢いで私には何も言わせず、引っぱり上げるように座敷へ上げて、床の間の前に無理矢理坐らせてしまった。ああ、これ、お酒、とお家の人たちに言いつけて、二、三分も経たぬうちに、もうお酒が出た。実に、素早かった。〉


誰の作品かわかりますか?
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期間限定でencounterが入っていたビル。
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本+何か、いろんなアイデアを形にする過程の本です。本に限らない職種の人でも楽しめると思います。〈共有〉ということは、これからもっと掘り下げられていいと思います。





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Tracked from 本の未来をつくる仕事/仕.. at 2009-06-11 18:57
タイトル : 『読売新聞』などに書評が掲載されています。
久々の更新ですー。 上記の『eyescream』2009年7月号をはじめ、(コピーしか手元にないので画像は割愛しますが)『読売新聞』2009年5月25日号「新刊立ち読み」、『読売新聞』2009年...... more
by bookrium | 2009-06-04 00:54 | 読んだ本 | Trackback(1) | Comments(0)